top of page

・聞こえにくいと思ったら使い始めましょう。

Q…難聴はそれほど深刻な問題なのでしょうか?

A…社会的な損失がとても大きい問題です。

下の表の数字を見てください。これはWHO(世界保健機構)が発表した先進国のDALY※障害調整生存年数)です。DALYとは「病気によって失われる寿命」と

「生活の質の損失」を合計したものです。たとえば死ぬことのない病気であっても、生活の質の低下が起こることがあります。その病気のために生活の質が半分に

落ちてしまったとして、その状態が10年続けば5年分寿命が縮まったのと同じであるという考え方をするのです。さらにその病気が起こる頻度を掛け合わせることで、社会全般の損失の指標としたものが、このDALYです。

 表を見ると、難聴はアルツハイマーやアルコール依存についで、そして糖尿病や肺がんよりも上位の6位に位置しています。

難聴は、とかく軽視されがちですが、じつは社会的な損失として莫大なものがあるのです。

難聴の現実と問題点

難聴は人間関係、社会適合、健康といったさまざまな面で障害を生むことがあることで問題になってます。

Q…難聴と認知症は何か関係があるのですか?

A…難聴があると認知症になりやすいといわれています。

ある報告では、認知症に合併する老年症候群の頻度として第一位にあげられるのが難聴で、40%以上に見られたことが報告されています。

 難聴があることにより、介護がよりいっそう大変になることが想像されます。

問題は、難聴があると認知症になりやすいのかということですが、いくつかの調査によって、難聴が認知症と無関係ではないことが報告されています。

 最近のアメリカの報告で、知的障害のない難聴の人639人を11年以上経過してから再調査したところ58名に認知症が見られ、軽度難聴で1.89倍、

中等度難聴では3倍、高度難聴では4.94倍、認知症になる確率が高い事がわかりました。

 分析によれば軽度・中等度・高度・重度と難聴が進むにしたがって、それぞれおよそ7年の年齢差に相当するレベルで認知症が増えるとされています。

もちろん、これは統計上の話です。タバコを吸っていても全員が肺がんになるわけではないものと同じで、難聴があっても認知症にならない人の方が圧倒的に多いのですが・・・。

 難聴が認知症の原因であるのか認知障害の初期症状であるのか、また補聴器が認知症を予防できるのかなどについては、まだこれからの検討が必要です。

しかし脳には、刺激があると回路が活発になり、ないと次第にさびついてしまうという性質があります。したがって、人とコミュニケーションがうまく取れなくなり、脳への刺激が少なくなることが認知症の一因子となっていることは容易に想像できます。

 まずは、難聴にならないように耳の管理に気をつけること、そして補聴器をつけてしっかりと人と交流を保つことが大切だと考えられます。

 

bottom of page